2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

田中翠友第一歌集『ふるさとの駅(ホーム)に立てば』

あとがきに「この歌集は、昨年それぞれ七回忌と十七回忌を終えた母と息子に捧げたいと思います。」と記されている。かなしみも短歌という詩型にあらわすことによって、その心は濾過されて、いつしか、さらに高みへと昇華されていく。 電子辞書開けば覚えのな…

蛭間節子第一歌集『白いカローラ』

歌集『白いカローラ』は、「齢九十歳となり、生涯に一冊の歌集を」と上梓された。著者の天性の明るさに心が救われ、励まされる歌が溢れている。 十月は祭り月なり荒物屋に荒縄一駄どんと置かれて 夏くればふうせんかづらの青き実が今に引きくる風船爆弾 少女…