石の地蔵さん

美空ひばり花笠道中は私が生まれて始めて口ずさんだ歌謡曲。10歳位の頃だったか。これこれ石の地蔵さんと呼びかけるように始まるこの歌を夢中で覚えた。ぽっかり浮かんだ白い雲と唄いながら、空の雲をいつまでも見ている子であったように思う。あの頃、石の地蔵さんも身近にいた。今は、躓かないよう下ばかり見て歩く。 

遠景となりゆくものかわたくしも雲の流れの消えゆく見れば 歌集『空とかうもり』より