弔辞

友が亡くなった。まさに晴天の霹靂。癌とたたかっていた事、それも再発であった事すら知らなかった。通夜に参列しホテルに戻ってから、友とのいろいろな思い出がどっと押し寄せ、気づけば朝の4時過ぎ。ホテルに備えてある便箋に友におくる言葉を書き連ねる。弔辞の依頼は受けていなかったが、是非にと読ませて貰った。それでも、一方通行の言葉はむなしさばかりが募りくる。

   弔辞

Aちゃん突然の訃報にまだ信じられない気持ちでいっぱいです。Aちゃんと初めて会ったのは同期として会社に入ったときです。同じ課に配属され、共に分析を担当しました。遅くまで残業した時、配達してもらった“いちろう”のうどん美味しかったね。Aちゃんあなたは本当に天真爛漫な方でした。人の寿命を物差しにたとえて、太くて短いとか細くて長いとか言うけれど、私は、その物差しには目盛りなど無くて、その人の手触り、厚みと温もり、色合いがあると思っています。あなたはあったかい人だった。ふんわりと人を包み込んでくれるAさんの名前の通りの奥深く心の豊かな人でした。色にたとえるなら、真っ白なキャンバスのような純真なお心の人でした。そのキャンバスには今、69年の歳月で描ききったやさしい色合いの風景が広がっています。あなたの溢れるようなやさしさは何時までも私達の心にも溢れ続けるでしょう。あなたに会えて本当に良かった、有難う。心よりご冥福をお祈りします。

令和元年12月19日