椿

私は椿が好きだ。特に籔椿の紅色が何とも言えない。1997年発行の馬場あき子第16歌集『青椿抄』のあとがきに次のような一文がある。一部抜粋してみたいと思う。

いま私の眼前にも、椿の青い蕾が日々にふくらみをましている。たとえば『新撰和歌六帖』に、「いやましの八峰にしげるあを椿つらつらものを思うころかな」などとうたわれた「あを椿」とは、「つらつら椿」以来の茂り葉だろうか、またはまだ青い蕾だろうか。私はこの季節の、蕾も葉も青い椿が静かなかがやきをたたえはじめる姿が好きだ。青い椿から思いがけず鶯のささ鳴きが洩れたりして、もう春はすぐそこである。

平成9年2月8日と記されていて驚いた。今日は、2月7日、一日違いだが同じ季節にこの歌集を手に取ることができ、何だか嬉しい。