たふれやすき棒

何も食してないのに、母は大量の便を出した。横たわったまま身動きがとれないので、急いで衣服をハサミで切る。人間は、何て、厄介なものを身につけている獣なのだろうか。

すこしだけ着かざりからうじて立ちてゐるわがうつし身はたふれやすき棒

よこたはるはいたはりに似る根を張れぬ足をかかへてちひさくねむらな

谷光順晏歌集『空とかうもり』より